ブランドストーリー

自ら採蜜する極上はちみつ

株式会社雅蜂園

代表取締役 大塚美和さん

養蜂家とミツバチをこよなく敬愛し、良質のはちみつを求め、九州から北海道まで飛びまわる。その行動力がたくさんのご縁を結び、彼女の人柄を慕う全国の養蜂家から声がかかる。本当に美味しいと思う国産はちみつを届けたいという信念のもと、採蜜を手伝い、自ら品質を確かめた極上の品を私たちに提供してくれる。



良質のはちみつとは?

はちみつは、ミツバチが自らの羽で3~4日もかけて、集めた花蜜から水分を抜き糖度を高めて完成します。安価な外国産の多くは、コストを抑えるため、この段階を待たずに採蜜し、加熱処理して水分を蒸発させるようです。はちみつは熱を加えると、本来持つ糖類、ビタミン、ミネラルといった栄養価はあまり期待できず、また喉につかえるようなえぐみが出ます。美容と健康に効果が高く、風味豊かな良質のはちみつとは、ミツバチの働きなくしては語れないのです。


「雅蜂園」創業のきっかけ

岐阜にある養蜂関連会社で4年間勤務。その後、家庭の事情により実家のある大阪に戻る。「この先自分には何ができるのだろう?」そう考えたとき浮かんだのは、やはりはちみつだった。

彼女には強いパイプがあった。独立にあたって懇意の養蜂家から、続々とエールが届く。「うちのはちみつ、持っていけ!」集まったはちみつの販路に悩んだ大塚さん。そんなとき声をかけてくれたのが、京都の老舗蜂蜜販売店、金市商店さんだった。養蜂関連会社に勤務していた当時の取引先だ。「どんどん持っておいで。全部買うよ。」その言葉に背中を押された。こうして、岐阜で結ばれたご縁がつながり、地元・堺で、国産はちみつ専門販売店「雅蜂園」を創業する。



地元・堺での創業。当初はためらいもあったという。生まれ育った場所、ご近所さんの手前、父や母の顔に泥を塗るようなことがあってはならない。ヘタな商売はできない。ここで頑張っていくためには、並々ならぬ覚悟が必要だった。

まずは、道沿いでパラソルを立てての手売り販売からスタート。通りすがりのひとからも、だんだんと気にかけてもらえるようになる。ひとからひとへと評判が広がり、今では地元の方のみならず、大阪市内やさらに遠方からも良質のはちみつを求めてお客さんがやってくる。お客さんの生の声が聞けることも何よりの励みだ。



養蜂家との絆から最良のはちみつ集まる場所に

はちみつの良し悪しは養蜂家で決まる。では、どうやって多忙な養蜂家たちと情報交換をすればよいのだろう?養蜂家の朝は早い。早朝3時、まだ暗いうちから、採蜜作業を行う。巣箱はミツバチのテリトリーに従って、計算のもと配置されている。深い山々に設置された数多の巣箱をまわるうちに、あっという間に時間はすぎていく。昼食後、仮眠を2時間ほど取り、夕方にまた作業が再開される。

今みたいにSNSで気軽に連絡が取れる時代ではなかった。ケータイはあっても、山奥では電波も届かない。大塚さんは悩んだ。何かよい方法はないものか。
そしてひらめいた。そうだ、作業を手伝おう。



養蜂家のスケジュールは急である。天候が悪ければ作業は中止になるし、数週間も移動することもざらである。そのため、養蜂家たちは融通の利く家族で経営している場合がほとんどであった。

「お前、ほんとうに来たんか?」最初はビックリされた。しかし、養蜂家の作業を手伝うことで、できることが増えていった。できることが増えると、十分な戦力になる。そのうち、人手が足りない、と養蜂家から連絡が入るようになっていった。「今どこにおる?」呼ばれて手伝いに行く機会も増え、養蜂家たちからの信頼も厚くなっていく。

自らの手で採蜜することで、どのはちみつがよいのか、目利きの能力も培われた。こうして各地の養蜂家との絆を深めた大塚さんのもとには、その季節に採れた最良のはちみつが集まるようになった。



はちみつの収穫も、気候に大きく左右される。豊作の年もあれば、もちろん不作の年もある。それは自然の摂理である。それでも、雅蜂園のはちみつを楽しみに待っているひとのため、止まってはいられない。

自らの行動力で全国各地の養蜂家との絆を深めた大塚さん。彼女のもとには、「少ししかないけど」ととっておきのはちみつが寄せられる。さらに、懇意の養蜂家から他の養蜂家を紹介されることも。こうして、不作の年でも養蜂家たちからのご厚意の輪が広がる。これが彼女の強みである。



奥深いはちみつの世界

「養蜂家さんを見れば、どんなはちみつかがわかります。」大塚さんは言う。管理が行き届いた養蜂場では、花と巣箱の数がぴったり合っているそうだ。ミツバチが集める蜜、その蜜を作る花の数が少なければ、ミツバチは他の花へも飛んで行ってしまう。他の花の蜜が混じると、はちみつの色や香り、味に違いが出てきてしまうのである。また、養蜂家の性格は、ミツバチにも影響するという。粗暴な扱いをする養蜂家のミツバチは、攻撃性が強い。優しく「おはよう。」と声をかけながら巣箱を開けるような養蜂家のミツバチはおとなしいのだという。

大塚さんは、長年の経験から、見るだけでどこで採れたはちみつかがわかるそう。同じ花の蜜でも、産地が違えば色も味もかわる。その年その季節の環境の違いでもかわる。まさに一期一会である。

「奥深いでしょ?」そう言った大塚さんの凛とした目が、印象的であった。



本当においしいと思う国産はちみつを届けたい

はちみつを作れるのは蜂の中でも、ミツバチだけ。ミツバチは、花の蜜を吸い取り、巣に持ち帰る。1匹のミツバチが短い一生のうちに集めるはちみつの量は、なんとわずかティースプーン1杯分といわれている。この、ミツバチの献身的な働きなくしては、私たちは栄養価の高いはちみつの恩恵を受けることが出来ないのである。

大塚さんは、「本当においしいと思う国産はちみつを届けたい」という信念のもと、収穫時期には全国の産地を移動する。職人気質の養蜂家、献身的なミツバチたち。愛すべき存在がいて、支えられ、はちみつ屋「雅蜂園」は今日もおいしいはちみつを販売する。どれも、大塚さんが自身の手で採蜜し、瓶詰までした極上の品ばかり。日本の天然の味をぜひ堪能してもらいたい。



ショップ紹介

株式会社雅蜂園
〒590-0906
大阪府堺市堺区三宝町2-131-1

日本全国の養蜂家を訪ね歩き、社長自ら採蜜を手伝うことで品質を確認したはちみつを販売。生産者はもちろん、採蜜場所までわかる極上の品が店舗に並ぶ。種類も豊富なため、味や香りを食べ比べできる。量り売りのはちみつも人気。関西テレビ放送『よーいどん!』のコーナー「となりの人間国宝さん』で紹介される。