ブランドストーリー

足元からつくる
「元気に笑える日々」

株式会社オクムラ

会長 鎌苅悦子さん

フィット感を徹底追及した「フット快」、歩行矯正効果も期待できる「3Dコンフォート」など、特徴ある商品を多数、世に送り出して来た老舗スリッパメーカー、オクムラ。 会長を務める鎌苅さんに、想いを聴いた。



「日本生まれ」のスリッパ

明治時代、200年以上続いた鎖国が終わったことにより、室内で靴を脱ぐ習慣のない海外の人々が、日本を訪れる機会が増えました。そんな中で、靴の上から履ける土足防止のアイテムとして、現在のスリッパの原型となる履物が生まれたと言われています。洋装の流行とともにスリッパは国内で広がりを見せ、独自の発展を遂げてきました。


家に帰った時、誰かの家に上がるとき、靴を脱ぐ。
家の中と外、武道における道場の中と外、境界の区別を強く意識する日本の文化が、部屋の中で履く道具として、スリッパを育ててきた。
室内用の履物として、来客時のおもてなしとして、日常生活に溶け込んでいる。近年ではテレワークのお供や、落下物や寒さから足を守る防災グッズとしても、注目を集めている。



何キロも歩いたり、長時間の立ち仕事をこなした後、足が疲れるのは、立っているから、動いているから。
そんな「当たり前」を突き詰めていけば、局所的に負荷がかかっているということに行き当たる。
その意味で、足にとってスリッパは、「履いている方がいい」と鎌苅さんは言う。
「立っている間、足は体の全体重を支えているわけですから、そこには当然、大きな負担がかかっています。フローリングやコンクリートといった、固い地面の上を歩いている場合はなおさらです」
スリッパが間に入り込むことで、衝撃を吸収し、つま先やかかとに集中しがちな体重を分散させる。そのことが、足の疲労を和らげることにつながるという。
スリッパを履くことで、家の中にいる時でも、裸足でいるよりずっと、足をいたわることができる。



オクムラ製品の中でも、特に足に「フィットする」履き心地を追求して作られているのが、「フット快」と「3Dコンフォート」だ。
どちらも、土踏まずに当たる部分が大きく盛り上がり、一般的なスリッパとは一線を画すフォルムをしている。
「フット快」シリーズは、特に長時間履きを想定して作られたスリッパだ。スリッパとしては珍しい8サイズの展開も、よりその人の足に合ったものを提供するため。
前身の「フット楽」シリーズからのファンも含め、リピーターが多く、「一度履いたら手放せない」履き心地が人気だ。



「3Dコンフォート」は、土踏まず部分の盛り上がりに加え、かかと部分が低く沈み込んでおり、構造がより立体的なのが特徴だ。
「多くの人の足のデータを取って3Dマッピングを行い、エルゴノミクスの観点から最適な形を探りました」
開発には3年以上をかけた。足裏にピッタリ合い、包み込むようなフィット感が履き心地の良さを支える。
そのクオリティは、一流ホテルのプレミアムルーム用のスリッパとしても用いられるほど。
加えて、歩行矯正スリッパとしての機能も持つ。
人は、意識していても、前傾姿勢になりやすい。姿勢が悪いことは、見た目に美しくないばかりか、内臓など、体への悪影響も懸念される。
3Dコンフォートはかかと部分が低くなっていることにより、前に傾きがちな重心をやや後ろに引き戻し、理想的な歩行姿勢をサポートする効果があるという。
オクムラが掲げるキーワード、「癒す」「治す」「鍛える」を体現する商品だ。



スリッパを、単なる履物ではなく、足元から疲れを取り、健康に役立つアイテムとしてとらえる。家具やインテリアのように、暮らしの空間の一部として、愛着を持ってもらえるような良いものを作る。
それが、オクムラの製品開発だ。低価格を売りに大量生産で利益を上げるより、一つひとつの品質にこだわり、他にないような製品を作ることで、メーカーとしての地位を確立してきた。
「スリッパも、長い歴史の中で新しいものが数多く生み出され、進化してきました。私たちは、流行が生まれたら、『じゃあ、次に来るものは何?』を考えるようにしています。真にお客様が喜ばれるものを作るには、常に先を考えることが大切だと思うんです」。
社員同士のディスカッションはもちろん、スリッパを使う「生活者」としての視線を持った地域のママたちとの座談会も定期的に実施。社内外から積極的にアイデアを集め、新商品の開発につなげる。



「最近では、家にいる時間が増えたことで、身の回りのもの一つひとつに愛着を持ち、大切にして、心穏やかに生きる、昔ながらの『丁寧な暮らし』が、見つめ直されているように思います。『おうち時間』の大切さが再認識された今だからこそ、『いいな』と選んでもらえるものがあると思うんです」。
おしゃれなデザインで人気のてぬぐい専門店「かまわぬ」とコラボし生まれた「てぬぐいスリッパ」も、そんな「丁寧な暮らし」を支えるアイテムの一つ。
かわいらしいデザインはもちろん、てぬぐい生地を使用することで、柔らかい足触りと抜群の軽さ、使っているうちに足にどんどん馴染んでいく快適さを実現した。着脱容易なかかとを踏む履き方と、より動きやすいルームシューズ履きの2種類の履き方も選べる。暮らしの様々な場面で「お気に入り」のアイテムとして使ってもらえるようデザインされた商品だ。



120年以上に渡り、スリッパとともに歩んできたオクムラ。
これまで多くのアイデア商品を世に送り出して来られたのは、スリッパに単なる室内履き以上の可能性を見出し、挑戦を続けてきたからこそだ。
「フィット感や軽さといった履き心地の良さとか、他にないデザインとか、使っているうちにどんどん馴染んでいき、『自分だけのもの』になっていく感覚とか、そういうものを突き詰めていくことで、スリッパは暮らしを豊かにするアイテムとして、人々の生活によりそうことができると思うんです」。
足に合ったスリッパをはくこと。それは、足をいたわる行為の一つだ。
休養や適度な運動、栄養補給、ダメージにさらされた体のケア。
日常のひとつひとつの積み重ねが、元気に暮らせる日々をつくる。
スリッパで、より多くの人の足を元気に。暮らしをもっと楽しく、快適に。
願いのこもったオクムラのスリッパが、人々の足元を支える。



ショップ紹介

株式会社オクムラ
〒556-0006
大阪府大阪市浪速区日本橋東1-7-17 オクムラ第2ビル4F・5F

明治28年の創業以来、120年以上もの長きにわたってスリッパの製造・販売を行う老舗スリッパメーカー。「癒す」「治す」「鍛える」をキーワードに、履き心地の良さやデザイン性だけでなく、履くことで健康にも役立つような商品の開発を行う。