創業天明六年・能登の老舗
久世酒造店
江戸時代から230年を超える歴史を刻む、石川県津幡町、久世酒造店の日本酒です。加賀藩前田家が命名した「長生舞」や、一流旅館である加賀屋など、能登の名だたる有名旅館がご贔屓の「能登路」など、長年にわたり愛される日本酒の数々。「良い酒を造るには良い米から」という信条のもと、米作りから酒造りまでを担うこだわりの日本酒です。
心を込めたこだわりの日本酒づくり
江戸時代から受け継がれる伝統の技で、こだわりの酒造りを230年以上にわたって続けている久世酒造店。2024年の能登半島地震で窮地に立たされるも、歯を食いしばり、美味しい日本酒づくりに励んでいる。230年の歴史を背負う、老舗の酒蔵9代目店主の奮闘の日々をご紹介します。
能登を襲った大地震
歴史を守る酒蔵店主の想い
株式会社 久世酒造店
代表取締役 久世 嘉宏さん
久世酒造店の9代目店主。創業天明六年(1786年)の久世酒造店の歴史はもうすぐ250年となる。江戸時代から受け継がれる老舗の酒蔵の9代目店主として、久世酒造店の日本酒の味を守る。2024年、1月1日、酒蔵をひとり見回っていた時に能登半島地震で被災。復興支援が進まぬ中、歴史ある酒蔵を守るために東奔西走している。
能登の酒造り~仕込みの米と水の特徴~
石川県の能登杜氏は、岩手の南部杜氏、新潟の越後杜氏、兵庫の但馬杜氏、と並んで日本四大杜氏と呼ばれています。特に能登当時は「濃厚で華やか」な日本酒の味を生み出すと言われています。中でも久世酒造の日本酒は、キレがありスッキリ飲みやすく、それでいて複雑で奥深い独特の味わいを創りだしています。その日本酒の味の決め手は仕込みに使う「米」と「水」です。
【独自開発した長生米】
酒米としてつかっているのは、自社生産の「長生米(ちょうせいまい)」です。創業当時より自社が所有する田んぼで、自社ブランドの酒米を生産してきました。粒が大きく、雑味がすくないのが特徴。また、心白が大きく、酵母の発酵を促すデンプン質が豊富で、外側のタンパク質・脂質・灰分が少ない日本酒づくりに最適な酒米として完成されています。
【久世酒造の仕込み水】
昔から、硬水で作られた日本酒は「男酒」、軟水で作られた日本酒は「女酒」と呼ばれています。男酒はコシがある引き締まった味わい、女酒は柔らかく穏やかな味わいという特徴があります。久世酒造店では、酒蔵の地下に湧き出る地下水(硬水)と、地元の霊水である清水(しょうず)の湧き水(軟水)を仕込み水として独自配合し使い分けています。
歴史はもうすぐ250年
日本を代表する
能登の酒蔵
内能登の静かな街並みにある酒蔵、久世酒造店。創業は天明六年(1786年)。江戸時代に創業してからもうすぐ250年になる。そんな古くから歴史をつなぐ、老舗の酒蔵を守るのは、9代目店主の久世嘉宏さんだ。久世酒造の日本酒は知る人ぞ知る銘酒。「長生米(ちょうせいまい)」という日本酒に合う米を自社で育てており、創業からずっと自社米づくりから一貫生産で日本酒を作り続けているのは、日本全国の酒蔵をみてもこの久世酒造店だけだ。こだわりは原料となる米だけではない。水を選び、米を磨き、酒を醸す。その丁寧なものづくりの姿勢が日本酒の味にでている。「プロが選ぶ旅館No.1」に何十年も君臨した、和倉温泉・加賀屋が運営する温泉宿や料亭でも、昔からずっと贔屓にしていただいていた選ばれし酒蔵だ。
「長生米は、うちにしか種がない。正真正銘、久世酒造のお酒のために造られている酒米(さかまい)です。」にこやかな笑顔で久世さんは語る。長生米は、創業当時、江戸時代から長い年月をかけて、日本酒のために改良され続けてきたものだ。日本酒づくりに合うように作られており、コメの粒が大きく、雑味が少ない。そして、麹菌の繁殖やでんぷんの糖化を促進する役割を果たす心白(しんぱく)が大きい。吸水率が他の酒米に比べても非常に少なく、他の酒蔵にも驚かれる。扱いは難しいが、この酒米でつくった日本酒はやはり旨い。父、祖父、曾祖父と、ご先祖様が繋いでくれた久世酒造の宝でもある。

酒蔵に湧く地下水と
清水(しょうず)の湧き水。
硬水と軟水を使いこなす技
久世酒造店の日本酒の美味しさの理由は米だけではない。日本酒づくりに欠かせない「2つの水」も挙げられる。ひとつは、酒蔵に湧く硬度7.62度の地下水。この水は、長い間、地中の岩石や土壌に含まれるミネラルを溶かし込んでいる。この豊富なミネラル分が酵母の活動を活発にし、発酵を促進させることで、“キレのある辛口で力強い味わい”に仕上がるのだ。そしてもう一つ、酒蔵のすぐそこにある硬度3.07度の霊水、清水(しょうず)の湧き水。酵母の働きが穏やかになり、発酵がゆっくりと進むため、口当たりがまろやかで、繊細で淡麗な味わいの日本酒ができるのだ。久世酒造は、この2つの硬水と軟水を絶妙なタイミングと量で使いこなしている。
久世酒造には、この軟水と硬水を使いこなす技が継承されている。だからこそ、特徴のある日本酒をつくりだせるのだ。「硬水で酵母を発酵させていくんですが、よいタイミングで軟水に変えるんです。硬水だけだと、キレがあるけれど単調な味になりやすいんで、そこで軟水の霊水を使うんです。どのタイミングでどのくらい霊水を使うかというのは難しいです。やってみないと分からないことも多い。日本酒づくりは正解がないですから難しいですね。」久世さんは、難しさを楽しんでいるようにも、面白がっているようにも見える。日本酒づくりを心から愛しているのだろう。歴史はずっと変わらず続いてきた。久世酒造の日本酒もこのまましっかり守っていけばよい、と久世さんは思っていた。


元旦当日の大地震
傾いた柱に波打つ屋根
2024年1月1日。家族で新年を祝い、お酒を飲みながらのんびり過ごしていた。正月の三カ日は、休みにしていたが、今年の酒はどんな風に育つだろうか、久世さんは、子どもを愛でるような思いで、夕方に一人、酒蔵に入り過ごしていた。その時だった、ドーンと地鳴りがして、立っていることもままならない揺れを感じた。能登半島を襲ったマグニチュード7.6、最大震度7の能登半島地震が発生したのだ。幸い、怪我はなかった。酒蔵も倒壊は免れた。しかし、酒蔵の柱が傾き、屋根は波打つように歪んでしまった。震災の被害の大きさに呆然となった。
進まぬ復興
被災した酒蔵を助け
みんなで力を寄せ合う日々
大きな被害を受けたのは奥能登だった。大口の取引が多い和倉温泉の加賀屋などの有名旅館も、まだ営業できないままのところが多く、他の旅館や料亭も復興が進まないため、売り上げも激減してしまった。新型コロナウィルスで半減した売り上げが、今度は地震、そして続いておこった豪雨被害で見通しが立たないままだ。「日本酒の大きな樽に米を送る大切な装置も壊れてしまっているのですが、震災から1年半が経った今も、家族総出で手作業で米を運び樽に入れるしかない状況です。それでも、うちはまだましで、奥能登では倒壊してしまった酒蔵もたくさんあります。」自身の置かれている立場が大変であるにもかかわらず、多くの仲間の苦難に心を痛め、できることがあればと、奥能登で建物が倒壊してしまった仲間の酒蔵の瓶詰めも当社で場所と機械を使ってやって貰った。みんなで助け合ってなんとかやっている現状だ。


酒蔵と能登を守るため
自ら歩き回る日々
蔵や機械の補修には相当の費用がかかるが、復興は進まず、国からの支援も乏しい。東日本大震災では長期間にわたり大規模な復興支援金が国から予算投入されたが、能登半島地震への国からの復興支援金は100分の1とも言われている。「旅館や料亭など取引先の復興もなかなか進まないんです。加賀屋さんだってご存知の通り、未だに営業再開できていません。あの日本一の温泉宿ですらそうなんです。」震災当時より、実は今の方が被害の深刻さを実感している。能登のことを忘れられないように、風化させないように。そんな想いもあり、今は地元の北陸だけでなく、大阪や東京、名古屋にも足を運び、久世酒造の日本酒を紹介し、能登への支援を呼び掛けて回っている。
久世酒造店の銘酒を全国へ!
石川限定の「能登路」に
松本零士監修の「長生舞」も。
震災でも久世酒造の酒は全て守ることができた。特に、他の酒蔵にはめったにお目にかかることができないような、20年物の古酒や、30年物の超古酒も無事だった。日本酒は新酒だけでは味を作れない。歴代の古酒をブレンドし、その蔵の風格のある味を作り上げることができる。代々、毎年できる新酒の一定分を古酒として貯蔵していくというのが久世酒造のやり方で、それが歴史であり、酒蔵の宝でもある。


「全国からの支援の声をうけて、超古酒と呼ばれる希少な30年物の大吟醸なども販売することにしました。また、石川県限定販売だった『能登路(のとじ)』もオンラインの販売などでみなさんに飲んでいただく機会にしていただければと思っています。また、漫画家の松本零士さんが監修した「戦国のアルカディア名将銘酒47撰」で、石川県を代表して加賀藩前田家が命名した久世酒造の『長生舞』が選ばれています。こうやって皆さまに応援していただくことが心の支えになっているんです。」未だ進まぬ復興ではあるが、ここでは石川限定販売だった日本酒も購入できる。250年続く、能登の味。石川能登に思いを馳せて久世酒造の日本酒を頂こうではないか。
★★★★★
長生舞、初めて頂きました。冷やは、とても口当たり軽く飲みやすいです。燗酒になると、米の旨味が増して口の中で楽しめます。
★★★★★
辛口好きなので好み。きりっとした強さがあるのに、口当たりはまろやかで味わいも単調じゃなくて美味しい。
★★★★☆
「能登路」は石川限定販売だったみたいですが、購入出来て嬉しい。大変でしょうが、応援しています。
★★★★☆
能登路 特別純米酒。こってり濃厚な旨味で、これもクラシックな味!
★★★★★
常温でいただきました。甘みは強くなく、コメ感もあり。しっかりした、辛口のスタンダードな日本酒です。硬水でしっかりコクのあるお酒に仕上がるんだな。
★★★★☆
歴史のある酒蔵には頑張ってほしい。30年物の超レア古酒がちゃんと貯蔵されているしっかりした酒蔵なんだと思う。
★★★★★
硬水と軟水が仕込み水というので面白い。さらっとしているだけの辛口じゃなくて、奥行きがあるのは軟水での発酵もさせているからだとか。美味しかったです。
ショップ紹介

株式会社 久世酒造店
〒929-0326
石川県河北郡津幡町清水イ122
「良い酒を造るには 良い米から」と考え、米作りから酒造りと一貫して生産する老舗の酒蔵。創業した天明六年(1786年)以来、自社の田にて独自の酒米(長生米)を作り、仕込み水は、(硬水)と(軟水)の2種類を使い分けて仕込む。江戸時代から受け継がれる伝統の技で 飲む人の長生きを願って、心を込めて酒造りをしているこだわりの酒蔵。
ショッピングガイド
マイページ
カート


